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 酪農家の周吉は息子を事故で亡くし、嫁の紀子と二人暮らしをしている。周吉は明け方になるとボケが出て、紀子は毎彼が可愛がっていた牛の代わりに裸になって牛舎で乳を搾らせている。それも舅に対して芽生えた想いがあってのこと。そして自らのボケに気づいた周吉は……。
 これは九州地方のとある静かな田舎の酪農家を舞台に、舅と嫁の禁断の愛を描いた異色官能編。俊英後藤大輔監督のメガホンのもと、麻木涼子、佐々木ユメカ、新人水樹桜らが濃厚なエロスシーンを繰り広げる。


 田舎の酪農家の周吉はもとは習字の教師だった。早朝、牛舎に乳搾りに出た彼は、囲いの中にいる裸の女をハナコと呼び、乳を搾った。当然乳は出ず、彼は幼なじみの獣医克己に電話を入れた。克己は何年も前に死んだハナコが今でも生きていると思っている周吉を心配した。電話を切った克己は助手の千里子を抱いた。電話を終えると周吉は急に普段の様子に戻って紀子を呼んだ。紀子は周吉の死んだ息子秀夫の嫁で、さきほど牛舎にいた女だった。周吉がボケるのは早朝の数時間だけのようで、紀子はその時間だけ彼のためにハナコになりすましているのだった。
 周吉と紀子は畑に出た。そこへこの土地を狙うプローカーの勝呂が現れた。周吉は売る気など全くなく冷たく彼をあしらった。周吉と紀子は若い恋人同士のようにじゃれあいながら、楽しげに畑仕事を続けた。
 その夜、周吉は秀夫のことは忘れて新しい結婚相手を探してもいいのだと紀子に言った。自分と紀子の間でよからぬ噂が立っているのも知っていた。風呂に入った紀子は下半身をまさぐり、義父への叶わぬ思いをかみしめながら布団の中で泣いた。
 翌朝。紀子は周吉が目覚める前に牛舎に入った。やがて現れた周吉はまたハナコの乳が出ないことを嘆いた。紀子は思わず「お義父さん」と呼びかけたが、周吉はやはり彼女であることには気づかなかった。
 周吉の娘・光子が帰郷した。光子を見かけた勝呂はモーテルに誘って金を渡して彼女を抱いた。その夜、光子は家に現れた。兄の結婚式にも葬式にも顔を出さなかった光子を叱りしながらも、周吉は彼女を迎え入れた。その夜、光子は紀子と酒を飲み、寝静まった周吉の部屋に侵入すると勝呂が欲しがっている土地家屋の権利書を捜した。その時、周吉が「ハナコは絶対売らん」と寝言を言った。彼は息子の秀夫が死んだ時の夢を見ていた。周吉がとめるのも聞かず、酔った秀夫は牛のハナコを売る為にトラックに載せた。そしてその車が事故を起こしたのだった。
 目覚めた周吉はいつものように牛舎に向かった。光子は後を追った。牛舎で服を脱いでいた紀子は周吉と光子の姿を見て慌てて裏口から逃げ出した。周吉は「ハナコ」の姿がないので不安にかられた。光子は紀子が牛舎に落としていったブラジャーを見つけ不審に思った。周吉は克己の病院に飛び込んでハナコが消えたと騒いだ。克己は慣れた調子で「ハナコはとうに死んどる」と口にし、周吉に検査を受けることをすすめた。
 光子は周吉に紀子のブラジャーを突きつけ、死んだ息子の嫁と牛舎でするのがそんなにいいのかと責めた。紀子は沈んだ様子の周吉を心配した。ショックを受けた周吉は一人で畑に出てこれから先のことを考えた。
 その後光子は再び勝呂に抱かれた。彼は早く土地権利書を手に入れるよう、強引に光子に迫った。畑からの帰り道、周吉は光子と出くわした。光子は周吉に病院で診てもらった方がいいと言った。周吉はこれから行くところだと光子に背を向けて歩き出し、克己の診療所へ向かった。訪れた周吉に向って、克己は紀子への気持ちを問いただした。そして自分にも好きな人がいて結婚するつもりだと呟いた。
 一人家にいた紀子のもとへ勝呂が現れた。彼は周吉が倒れて病院に運ばれたと偽り、この家を売ってその金で周吉をいい病院へ入れたらどうだと言葉巧みにすすめ、飲めない酒を飲ませた。その頃、光子は酔って深夜の繁華街をさまよい、「東京へ帰ろ」と淋しげに呟いた。紀子は酔いで意識を朦朧とさせながら「お義父さん」と呟いた。勝呂はそんな彼女を犯そうとした。紀子は明け方前の目覚ましの音で正気に戻り、勝呂を振り払うと牛舎へと向かった。勝呂は紀子を追いかけ再び押し倒そうとするが、そこへ丸太棒を振りかざした周吉が現れた。二人が揉み合う中、紀子が丸太棒を掴み勝呂の鼻面を殴りつけた。
 怪我の治療にきた克己と千里子は、紀子から周吉が半年前からおかしくなったことを聞いた。彼女を責めようとする千里子を制し、克己は「世の中には病気でつながっとる人もおると」と呟いた。そして千里子へプロポーズした。紀子は眠る周吉の傍らでお義父さんと離れたくないと泣いた。目を開けた周吉がハナコと呼ぶので紀子は牛の鳴き声を真似て乳を搾ってと懇願した。やがて周吉に夜明けの記憶が蘇った。紀子は周吉と唇を重ね、堰を切ったように激しく愛し合うのだった。
 そして周吉は土地を売り老人ホームへ入る決心をした。紀子は実家へ戻ることになった。周吉は老人ホームが退屈に違いないと再び習字の練習を始めた。荷物をまとめた紀子は周吉に最後の別れを告げた。一人残された周吉は、座敷に広げた半紙に「嫁なりし牛の哭きたる明け方の夢」と書いた。周吉の目からあふれた一滴の涙がその字を滲ませた。






監 督………後 藤 大 輔
企 画………福 俵   満
プロデューサー…池島ゆたか
脚 本………後 藤 大 輔
撮 影………飯 岡 聖 英
編 集………酒 井 正 次
録 音………シネ・キャビン
助監督………小 川 隆 史
現 像………東映ラボテック

岡宮周吉……中 村 方 隆
岡宮紀子……麻 木 涼 子
岡宮光子……佐々木 ユメカ
勝呂…………なかみつせいじ
克己…………城   春 樹
千里子………水 樹   桜
岡宮秀夫……新 納 敏 正
農夫(声)…江 端 英 久

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