盲目のナツキは友人の陽子の殺人現場で犯人の水野とすれ違う。刑事の武智は彼女の証言をもとに捜査を進めるが、彼女に姿を見られたと思い込んだ水野は彼女をつけ狙い…。
　変質者に狙われる盲目の女性の恐怖をベテラン池島ゆたか監督がサスペンスたっぷりに描く。人気女優葉月螢が難役に挑み、新たな魅力を開花させる。ほかに新人の真咲紀子、美麗ら。

　ナツキは生まれつき盲目で、リハビリセンターで同じような境遇の人々をサポートする仕事についていた。ある日の帰り道、近所に住む友人の陽子から相談があるので今夜部屋を訪ねたいと言われた。陽子が自室で出かける用意をしていると水野が訪ねてきた。彼は陽子が自分に好意を抱いていると思い込み、ストーカー的に付きまとっていた。水野は部屋に入り、持ってきたレコードをかけると陽子を押し倒してレイプした。そして陽子の冷たい態度に逆上し、逆上して彼女を絞め殺した。そこへ約束の時間になっても陽子が来ないので心配したナツキが来た。部屋へ入り様子を探ると水野の手に触れた。水野は彼女に襲い掛かるが、揉みあううちに部屋を飛び出した。大きな物音に何事かと現れた隣室の女は陽子の死体を見て悲鳴をあげた。
　その後、数人の刑事が現場検証に訪れた。ナツキは犯人の背格好もわかるのですぐに探して欲しいと言うが、長谷川警部は全盲の彼女の目撃証言は難しいと困惑した。ナツキは陽子の死のショックで泣き崩れた。
　一週間後。事件はまだ解決していなかった。ナツキの隣室に住むオカマのケイは彼女を優しく慰めた。そこへ刑事の武智が訪れた。彼はプロファイリングで犯人を探してみるため、ナツキに犯人の特徴を尋ねた。身長は１７０センチくらいで、酒や煙草、そしてニンニクの臭いがしたとナツキは話した。

水野は成績が悪く三流の高校にしか行くことが出来ず、父親は母と彼を責めた。以来母は若い男を家に連れ込んで不倫に溺れた。水野は親の愛も受けることなく育ってきたのだった。 　ナツキは事件の夜着ていた服から犯人の物と思われる中華料理店のマッチを見つけた。彼女とケイは武智に知らせた。武智は店での聞き込みを終えるとナツキの職場を訪ね、自分の分析した犯人像を彼女に話した。男は二十代後半の孤独な青年でストーカー的な行為の常習犯だと武智は考えた。陽子の相談とはストーカーの悩みのことだったに違いないとナツキは察した。 　武智はナツキを送り、彼女の部屋で酒を呑んだ。そして彼はナツキへ愛を告白した。ナツキは自分はこんな目だから遊びでも構わないと彼を受け入れ、二人は熱く求め合った。マンションの外では水野がナツキの様子を見張っていた。 　翌日。陽子の伯父がナツキ達に形見のものを持っていって欲しいと告げた。そこには見慣れぬＬＰレコードがあった。ナツキとケイは不審を感じ、そのレコードに貼ってあったシールの店を武智に知らせた。武智が店に行くと、それは一ヶ月前に辞めたバイトが買っていったものだと店長は話した。 　水野はリハビリセンターのロッカールームに忍び込み、ナツキのバッグから部屋の鍵を盗み出した。一旦部屋に戻ったナツキは鍵を忘れたと思い、職場に戻った。更衣室に入るとロッカールームに潜んでいた水野が彼女を襲った。必死で逃げ惑うナツキは武智の携帯に助けを求めるが、留守番電話になっていた。水野はナツキを追いつめ、レイプしようとした。ナツキは隙を見て逃げ出し、電気室のブレーカーを落とした。暗闇の中で気配を伺い、ナツキは水野に杖を振り下ろした。そこへ武智が到着した。武智はこれからは一生僕が君を守るとナツキを固く抱きしめた。そして二人は愛をかみしめるように体を重ね合った。

監　督………池　島　ゆたか 企　画………福　俵　　　満 脚　本………五　代　暁　子 撮影・照明…清　水　正　二 音　楽………大　場　一　魅 編　集………酒　井　正　次 録　音………シネ・キャビン 助監督………佐　藤　　　吏 現　像………東　映　化　学 スチール……津　田　一　郎

星野ナツキ…葉　月　　　螢 長島陽子……真　咲　紀　子 水野の母親…美　　　　　麗 武智…………石　川　雄　也 水野優一……入　江　浩　治 若い男………樹　　　か　ず ケイ…………色　華　昇　子 隣の女………山ノ手　ぐり子 長谷川警部…かわさきひろゆき