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加藤伸輔………吉 岡 睦 雄
加藤時雨………千 川 彩 菜
東 柳史………柳   東 史
皆川悦子………結     衣
加藤誠治………なかみつせいじ
加藤基子………佐々木 基 子
プロデューサー…本多 菊次朗
キャメラマン…川 瀬 陽 太

監 督……後 藤 大 輔
企 画……福 俵   満
プロデューサー…池島ゆたか
脚 本……後 藤 大 輔
撮 影……飯 岡 聖 英
挿入曲…ハッピー&ターン
編 集……酒 井 正 次
録 音……シネ・キャビン
助監督……伊 藤 一 平
スチール…山 本 千 里

新作の準備を進めるピンク映画監督の加藤伸輔には時雨という妻がいたが、彼の浮気がきっかけで数年前に離婚していた。伸輔は時雨との物語を映画にしようと計画する。シナリオを書き進めるうちに結核であった妻の療養に生涯を投じた彼の叔父の物語と時雨との自身の物語が伸輔の脳裏で交錯する。そしていざ撮影直前となったその日、ある出来事が伸輔に起こり…。
これは鋭才後藤大輔監督が複数の物語を多元的に流れる時間を交錯させる手法で描き、独自の愛欲世界をスクリーン上に現出させた注目の意欲作である。千川彩菜、結衣、佐々木基子など、新人ベテランとりまぜたキャスティングも見ものだ。

 ピンク映画監督の伸輔は自宅と仕事場を兼ねるマンションの一室でパソコンに向かい、これから撮影に入る作品の脚本を直しはじめた。それは彼自身と別れた妻時雨の物語だった。
 結婚前、妊娠した時雨に卵管結策という病気が発覚した。手術後堕胎した時雨は悲しみに暮れたが伸輔に対する愛情は濃くなり、二人は結婚した。しかし伸輔は時雨とセックスを試みても萎えてしまい、離婚を考えるようになった。彼は時雨を傷つけたことの罪悪感から結婚したのだった。
 ――伸輔には女優の悦子という愛人がいた。時雨との離婚の直接の原因となったのは彼女との関係だった。新作の衣装合わせの日、悦子は早くに仕事場を訪れ伸輔と愛しあった。
 ――ある日九州の実家の兄誠治から父が倒れたという電話が入った。伸輔は仕事があるので家には戻らないと言った。時雨は帰るよう伸輔を促したが、伸輔にはその気はなかった。
 ――伸輔の叔父聰三郎は医者だったが、夫婦生活の大半を肺結核を患った千代子の看病に費やした。やがて千代子は他界した。準備中の映画は伸輔と時雨の物語と聰三郎夫婦の物語が交叉し、響き合う構成だった――本読みの最中に伸輔は聰三郎夫婦の悲しみの重さが自分と時雨の破局の悲しみとは比較にならない気がしてきた。稽古はそこで中断した。役者のひとり東が以前忘れ物を取りに来た時に時雨と会ったことを思い出した――伸輔の頭の中に東と時雨が白昼の情事に燃える場面が浮かんだ――稽古が再開された――墓参りに出かけた聰三郎と千代子の場面。死を目前にした千代子はこの墓には入りたくないと言った。聰三郎はその場で千代子と交わった。
 ――ある時、伸輔の浮気を知った時雨は泣きながら伸輔に拳を振りかざした。伸輔は謝ることもなく、悦子に電話しこれから会おうと誘った。時雨は包丁を手に伸輔に突進し――パソコンに向かう伸輔はまるで本当に脇腹を刺されたかのように顔をしかめた――稽古を続ける役者たち――伸輔と時雨の生活の再現。東演じる伸輔は悦子演じる時雨に何度も殴られ必死で謝り、熱く愛しあった――いっぽう寝室には衰弱した千代子と聰三郎の姿があった――再び時間は逆行し、時雨は包丁を自身の手首に当てて自殺を試みた。
 ――稽古の後。酔った悦子は時雨は死んでいないし、離婚した淋しさは理解できるが結局伸輔が悪いのだと彼を責めた。そして自分が彼の浮気相手だと周囲の役者やスタッフにぶちまけ、妊娠したことを告げた――ある日、時雨はバイトから帰ってくると伸輔に『ラスト・エンペラー』のDVDをプレゼントした。二人が可愛がっている猫の名前プーイーはこの映画の主人公の名前だった。伸輔は父が死んだことを告げた――再び墓参りのシーン。喪服を着た東と悦子が歩いてくる。二人は聰三郎と千代子の会話を繰り返し、これは自分たちの役なのかと伸輔に問うた。悦子は映画のために父親まで殺すのかと呆れた。
 ――稽古の後。伸輔が目覚めると皆の姿はなく飲み食いの跡だけが残されていた。そこへ電話が鳴った。寝室には悦子がひとり居た。二人は愛しあった。伸輔は父が死んだことを話し、飼い猫を連れて部屋を出た――玄関のチャイムが鳴った。迎えに出たのは誠治、現れたのは時雨だった。五年前、伸輔と時雨は離婚し、時雨はその後再婚して子供を産んでいた。誠治が時雨を部屋に招くと、そこには伸輔の遺影が飾られていた。時雨と自分の物語を映画にするつもりだったが、稽古の後で出かけた伸輔は酔っ払って近くの川で溺れ死んだのだった。時雨は最近伸輔が映画を作っている夢を見た、そこには誠治や基子もいたと話した。時雨が帰ると誠治と基子は愛しあった。どこからともなく伸輔と時雨、悦子と東の歌声が激しく鳴り響いた。


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