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【XCITY MAG】怪し~いエロサイト「ラポルノファンディング」って何だ?強要問題、違法無料サイト…どんずまりAV業界に変革を起こそうとする”黒船”の野望とは?!

2019.07.17

ん?聞き慣れない名前だな。ラポルノ?ポルノってことはエロかな。 クラウドファンディングってプロジェクトとかに賛同する人から資金を募って実現させるあれだよね。一体何をファンディングしているんだ???

しかも、このサイトやたらカワイイ子が並んでるんですよね。うーん、気になる。というわけで、やってきました都内ターミナル駅からほど近い某所。

パソコンが所狭しと並べられたマンション高層階の一室は、はちきれんばかりの活気に溢れていました。出迎えてくれたのは、ラポルノファンディングを運営する株式会社YOSUGAの吉武代表。

インタビュアー:峰不二男

長い眠りから目覚めつつある元AVメーカーのプロデューサー
趣味は、朝からのサウナとビールで一日を棒に振ること
twitter@minestrooone

吉武代表

これはこれは、ようこそお越しくださいました。

はじめまして、熱気溢れる社内ですね。

吉武代表

若いスタッフが多いですからねー。

コワモテ&屈強な輩みたいなイメージを勝手に想像していたけど、気さくなお兄さんって感じの 吉武代表にさっそくお話を伺う。

クレームから始まったアダルト業界への参入

吉武さんはアダルト業界にいてどのくらいになるんですか?

吉武代表

いえ、元々アダルト業界ではなくて、コンピュータのシステムを作ってたんですね。創業当時は一般の会社のシステムを作ってたんですが、5~6年した頃から風俗店の勤怠システムを手 がけるようになって…

風俗嬢の出勤や退勤の記録を付けるやつですか?それはまた随分ニッチな…。

吉武代表

はい、デリヘルなどの女の子の勤怠管理のシステムは開発が大変な割にダンピングされるし、反社会的なものを疑われたりしてシステム会社が作りたがらないんですよ。なので見積もりを出すのですが、リスク代も込みとして通常の1.5倍位で出すとそれが通るので同じ仕事でも利益率がぜんぜん違ったんです。

で(お客さんからの)紹介から紹介ということで高単価の仕事を請け負うようになりました。それでアダルト業界ってこんなに単価が高いの??ってびっくりしたんですよ、当時は。

高いのかも知れませんね。この業界、金銭感覚おかしいですから。

吉武代表

それで今度は、インターネット上のアダルトサイトで自動で投稿するシステムの制作依頼が来てそういうのを作ってたんですね。

今のアダルトサイトって違法動画を紹介してアクセスを集めて、集まったアクセスに対して勃起薬を売ったり育毛剤を売ったりとか全然関係ないものを売って、(違法動画の)著作権を持った人間にしてみれば自分たちの著作物で客寄せして全然関係ないものを売りつけて小遣い稼いでけ しからん!ってなる訳じゃないですか。

僕らは、直接それを運営していたわけではなく、そこにシステムを提供していたということだったんですけど、ただ、アダルト案件ってやっぱりリスクが高くって「飛ぶ」んですよ。

いなくなっちゃうってことですね。

吉武代表

はい、初期の開発費は1/3を支払ってその後完成した後に2/3を20回払いのように分割払いで支払うような形なんですが、3~4ヶ月経って消息不明になっちゃうっていうか。

箱の店舗やアダルト系の方々はそんなことないんですけど、WEB上の方々はすぐ飛んでしまうんですね。

あー、なるほど。

吉武代表

するとうちは未回収がどんどん膨らんで、でもシステムだけは手元に残ってるんで、それで仕方なしに費用を回収するために手元に残ったサイトやシステムを自分たちで運用するようになって、っていうのがうちがアダルトを始めたいきさつですね。

必要に迫られてということですか。

吉武代表

まあ、そういうことですね。で当時、某配信サイトからお叱りを受けたんですね。「お前たち無許諾で動画を扱ってけしからん」というような。

そりゃ怒りますよね。

吉武代表

当時はシステム開発がメインで、アダルトサイト運営は不良債権の回収が主たる目的だったので、謝罪して閉鎖するつもりでした。

そこで、その某配信サイトと会談の場を設けさせていただいたのですが、他のアダルトサイトは逃げて連絡すらこないと聞いて驚きました。

その時、共存共栄するなら、あなた達自身がメーカーになった上で歩み寄れる条件や環境を提案すべきではないかというお話をいただいたんですね。

僕たちも、その通りだと思って…。それが、メーカー「黒船」誕生の瞬間で、ちなみにこの黒船というレーベル名は、その某配信サイトの責任者の方に付けていただいたんです。で、黒船が出港するにあたって、ビジネスとしては勝算が無いと動けません。そこで「ラポルノファンディング」というアイデアが出てきたんですね。

アダルト業界に異分子としてやってきたYOSUGAの思い

吉武代表

僕たちは業界外から参入したってこともあるんですけど、アダルト業界って思った以上に混沌としているなって思ったんですよ。メーカーを始め配信サイト、販売店、プロダクション、審査団体とありますけど秩序があるようでかなりカオス

ある意味「村」ですからね。

吉武代表

例えば某大手配信サイトは1強でメーカーの売上の大きな部分を占めているのでメーカー はそこに足を向けて寝られないんですね。そこじゃないところでビジネスをしようと思うと、投稿系などの選択肢になってきますが、多くは海外のサービスなんで常に目をつけられていて不安定なんですよ。

外から見ていると、アダルト業界は大手が出てきては潰れてと3~5年周期でキングメーカーが変わる。変わる瞬間は、キングメーカーが君臨していた時に恩恵に与れなかった人たちの恨み (笑)が積み重なって、その中からまたポッと出てくる。その人達が昔排除した人たちを今度はまた排除してまた別でまとまるみたいな。ほんと、恨みだと思いますね。それが原動力になっ て、何くそと思ってまた市場が活性化しているといういい面もあるんですけど。

そもそも動機がそういう風なんで足の引っ張り合いが起こるわけなんですよね。それに加えて、社会的な問題も山積みだし、何しろ今DVDが売れないじゃないですか。

昔に比べると売れなくなりましたよね。

吉武代表

なので、メーカーが元気が無いんですよ。メーカーが儲からないから、脚フェチ◯◯◯とかフェラチオ100連発みたいな編集ものが増えるばっかりで、新たな作品にチャレンジすること が少なくなってきた。儲からないので新規参入もなく新陳代謝がない。

そうなると市場も飽きてきて、余計作品が売れなくなるっていうのもあるんですけど、一番の問題はメーカーからの仕事がないからいいAV女優さんが残らなくなってくるわけですよ。そうなるとAV女優さんも見切りをつけて風俗に行っちゃうみたいな。

そうなんですよね。お金になればいいって人も多いわけで。

吉武代表

メーカーは、コストを含め、社会的責任なども全部抱えて作品を作りますよね。それでリリースしても売れるかどうかわからない。

確かにそうなってますよね…。(ここで数人のメーカー担当者の顔が浮かんでは消えてい く)

吉武代表

だからちゃんとメーカーが儲かる仕組みを作ろうじゃないかと。きちんと儲かってメーカーが作品を作る意欲が戻る仕組み、キャッシュポイントを変えたいって思いがありまして。

なるほどー。

吉武代表

また、AV女優さんはいなきゃ作れないんで一見強い立場なんですけど、メーカーさんに資金がないと、どんどんギャラも叩かれるんですね。実際かつてなくギャラも低価格化しています。 その中で性病検査もしなくてはいけない、年齢確認しなくちゃいけない、身バレのリスクもあるとなるといい子が入ってくるわけがないんですよ。

中には意欲のある子がいるんですけど、そういう子はなかなかチャンスがなくて表に出れない。昔は撮れば金になる時代があったんでしょう が、今はそうじゃない。

それで、メーカーの負担が減り、潤った分でちゃんと女優さんにまでお金が回り、やる気のある人には更にチャンスがあるような仕組みを作りたいと思いました。

ラポルノファンディングとはどういう仕組みか?

吉武代表

AV女優さん主体でこういう作品に出たい、作りたいってことでファンディング(一般から制作費を募る)を行ってもらいます。仮に30万円集まったとして女優さんのギャラが20万だとすると女優ギャラを取った残り10万が制作支援金として手を挙げたメーカーの制作補助金に充 てられます。

メーカーとしては、作品を作るにあたって、女優費がかからない、加えて制作費に補助が出るというメリットがあります。また、今まで検討のテーブルにも上がらなかった女優さんにもチャンスが出てきます。

また、お客さんにとっても直接AV女優さんを応援できるので支援のしがいがありますよね。

うーむ、それは新しい楽しみ方ですね。

吉武代表

ラポルノのユーザーさんはある意味、地下アイドル好きなお客さんと似てるんですけど、頑張ってる女優さんを応援したいって思いがあるんですね。

以前も座談会って形でお客さんに集 まってもらって意見を聞いたりしたのですが、アイドルと同じで頑張ってる子を応援したいっていうつもりで買ってるお客さんがすごく多いんですね。

最初は僕ら履き違えていて、撮影で使った使用済みのパンツとか出せば皆喜んで買うだろうとか思ったら全然売れなくて、むしろ手紙とか自分のために吹き込んでくれたボイスデーターとか非アダルトのグッズの方が人気があったんですよ。

ヌキたいだけでなく、そういう需要もあるんですね。

吉武代表

現在はそういうニーズはプロダクションさんが主催するイベントで発散されていると思います。◯時間で◯万円とか。だから結局メーカーにはどこからも入ってこないわけですよ。

一方、女優さんもイベントや個撮(個人撮影会)で無茶苦茶使い倒されちゃって作品もあんまり出れないから人気も出ない、そうするとどんどん安い仕事を振られていって擦り切れていなくなっていくっていう。そういう流れを流れを変えるためっていうのもあります。

チャレンジしたいメーカーさんやAV女優さんは多いかも知れません。

吉武代表

新規のメーカーやAV女優が入ってこないってことはどんどん水が淀んでいくんで業界が汚れていくんですね。

アダルトでも新陳代謝の活発なところはクリーンなんですよ。だけど、代謝のないところは利権の喰い合いになっていて、一番下の末端の制作を支えている人間のような実働の部隊がどんどん吸い上げられて、支えきれなくなったら業界ごと倒れていくってい う状態ですね。

ただ現在は、外のメーカーさんに入ってもらっているわけではないので、全部自社(YOSUGA)で制作しており、前述のレーベル「黒船」から販売しています。

全部、自前で運営しているんですね。下世話な質問で恐縮ですけど、さぞかしがっつり儲か っているのでは…?

吉武代表

いえいえ、それが今の所大赤字です。(苦笑)

黒船としては、開始から140本くらいリリースしていていますが、殆どが回収できていませんし、ラポルノの構築運営費もまだ全然回収で きていません…。

何となくでもざっと計算すると相当な投資額ですよね。

吉武代表

本業のシステム開発があるから続けていけるといったところですね。

ただ、ちょっと古いデータですが、2013年は5600億円ほどのコンテンツ市場があったんですね、それだけの市場があればまだまだ立て直しも効くし、資金需要も市場規模と同じくらいの物があると思いますので、僕たちとしては先々の未来を見て現状運営しているといったところです。

当然です がファンディングもレーベルも儲かる

と思ってやってるんですよ。日本のコンテンツ市場規模はこんなものではないので、可能性は大きいと思います。ただ、矛盾するようですが、この先コンテンツだけで商売をしていくのは厳しいのではないかとも感じています。

というのはどういうことでしょうか。

吉武代表

コンテンツ自体がネットに海賊版として公開 されてしまったりというのはもちろん 問題なんですけど、そもそも商売としてコンテンツのみを販売していくのは先がないかなと。

コンテンツをゲートウェイにして、その先の何か、それはイベントなのかグッズなのかいろいろあると思うのですが、そういうものに繋げていかなくてはいけないなと思っています。

なるほど、今後の展望としてはどうでしょうか。

吉武代表

はい、僕たちとしてはこのラポルノファンディングをもっと盛り上げて、今後は他のメーカーさんや制作会社さん、AV女優さんやプロダクションにもどんどん参加していただくようにしていきたいと思っています。それが、業界の活性化に繋がり、その先にYOSUGAの成功もあるのかなと思っています。

ラポルノファンディングは、最初怪し~いエロサイトというイメージだったんですが(失礼)、自分たちでリスクを抱えて作品を制作し、業界の問題点を確実に捉えながら、その先を見越して 動く非常にチャレンジングな仕組みを作ろうとしていることが分かりました。いつの時代も閉塞した状況を変えるのは外から来た人達なんだなーってことです。AV業界もいろんな問題が山積みだけど、新陳代謝が活発になることによって更に発展していくことを望みつつ、立ち呑み屋で一杯やって帰るとします。