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  2. 完全期間限定公開! 見逃したらもう2度と見られない!? AVライター沢木毅彦の 忘れたくても忘れられない! 伝説のトラウマAV
フーテンのような日々を過ごしていた男がカメラマンとして頭角を現し始めた1980年代、ふらり立ち寄ったAVメーカー・九鬼(KUKI)で、顔見知りだった当時の社長から 「写真撮ってるんだったらビデオも撮れるんじゃない?」と誘われ、なんとなく監督になった。それがジャッキーだ。AV評論家たちがこぞって瞠目した、 「酔いどれ詩人」とも呼ばれた彼の知的でスノッブで 耽美的かつ変態な作品群を今月はご紹介!
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▼1984年に起こった出来事
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発売年:1984年 出演女優 香坂和子

業界内をイチコロにした“永遠の恋人”!

メイン・タイトルと同時に“ピンク体位に、はずかしく!!”なんていうサブタイトルが出るだなんて、まったく記憶になかった。ただただ香坂和子に魅了されてしまうそれだけのAVです。いつの時代にもいる「何でキミみたいなコがAVに?!」な女優と出会えます。この“素人本番シリーズ”はジャッキー監督とともに始まった彼の代表シリーズなのです。
香坂和子(吉川マリ名義も)は1980年代前半にエロ雑誌のヌードグラビアに登場。 前職がトラックの運転手というまさかのガテン系で、可愛らしい顔だちとのギャップに僕(AVライター)たちはカッチョイイ! とテンションが上がったものです。雑誌編集者やAV監督が恋しちゃう「おじさん殺し」にして 「業界人殺し」キャラの元祖と言えます。のちにKUKI作品で名作を連発することとなる舞阪ゆいもその系譜に名を連ねます。 OLがタイムカードを押すような上品な物腰でビデオやグラビアの撮影現場に現れるので、業界ノリのおじさんたちが「おはよーっス」なんて軽く返せなくなってしまう、そんな女の子たちがこの系統です。何でキミみたいに美しいだけではなく利発で常識人で社会に適応できているのに、
大股開きやFUCKシーンを生業にしているの? と自分のレベルにはないアイデンティティや美意識を見せつけられ、彼女を尊敬、同時に恋してしまうのです。 どんな職場でもこんな構図で女性に惚れてしまうことってありますよね? この作品が世に出た1984年はアダルトビデオの黎明期。まだ単体女優というものが存在しなかった。のちに美少女メーカーのパイオニアとなる宇宙企画が 『ミス本番・田所裕美子19歳』の大ヒットとともにその歩みを始める年なのです。 街にはレンタルビデオショップが急増し始め、 トルコ風呂がソープランドへと改称されたの1984年。AV女優の呼称はなく、名のあるモデルの多くは当時の僕たちの主力エロ本である「ビニール本」「裏本」「自販機本」出身。フレッシュなAVアイドル的存在が“美少女本番”“素人本番”の惹句とともにデビューする可愛コちゃんたちだったのです。 「えっ、こんなコがアダルトビデオに?!」 の始まりは、「AV」の略称はない「アダルトビデオ」の時代です。
「昭和38年生まれの20歳です」から始まるモノローグとともに 香坂和子は登場。海辺、緑を背景に全裸のイメージショットで売りの貧乳があらわになり、胸とは裏腹の太い太腿すなわちどっしりした下半身がなんとなくトラック野郎いや姐ちゃんかなという景観です。 芝生に腰を下ろして レイモン・ラディゲの詩集を開いて音読するくだりは、ジャッキーならではのスノッブ臭が漂います。いつの時代も、主演女優にモテようと思って、俺ぁインテリだろ? とひけらかしたくなっちゃうわけですよ、単体女優を好きに料理できるディレクターってね。 そして、 香坂和子って声がいいのです。舌ったらずの甘いエロキューションも中年キラーぶりに輪をかける! 女子から見ると、あの子なによ男子に媚売って、と反感買うスレスレの感じです。 すっかり僕たちが和子ちゃんに蕩けてしまったところでオナニーシーンです。まぁ、この「うぶ」全開の自慰にさらにさらにヤられちゃいます。 こんな子がAV出てオナるだなんて?! この一点だけでおかずになることを保証しましょう。
クライマックスのベッドシーンは随所にテロップ。“経験の少ない私のセックス”“せいいっぱいの私”“あまり強く、早く、動かないで”。当時のAVで多用されたエロ本のグラビア的手法です。竹藪にごっそり捨ててあった 雨ざらしのエロ本を中学校時代に拾って興奮した遠い季節がよみがえります。 近年のAVでは絶対に出会えないタイプです。AV女優のツイッターやブログを見て安心して業界に入ってくる今のコたちの「ルンルン」のないその清純さ加減。いかに1984年当時、多くが 香坂和子に狂っちゃったかがここで明らかになります!
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発売年:1987年 出演女優 冴島奈緒

一級品のエロ表現力で時代をキメた!

1987年。AV界は「第一次巨乳ブーム」に沸いた。立役者の一人が冴島奈緒です。しかしおっぱいより、卓越したエロ表現力こそに注目。その濡れ場の輝きは永遠です。いろんなAV監督を相手に、何本も代表作級の名作をモノにした伝説のスター女優の仕事です。
奈緒・ミーツ・ジャッキー。傑作が生まれないわけありません。  舞台は海辺の豪邸。男と女の恋物語からのカラミと、イメージシーンと素顔のトークという当時の単体女優物の王道の構成ながら、「酔いどれ詩人」ジャッキーゆえに、まことに耽美的。しかし、そういったフィルターを要所で生身の肉体がブチ破って魅せるのだ。それが 冴島奈緒だ。彼女がいかに時代をキメた大スターだったかを納得してください。
この年デビューした彼女は、セクシーと呼ぶしかない顔立ちと身長158センチと小柄ながら美巨乳とくびれが映えるB83・W58・H83の超絶イイ身体の持ち主で、その洗練されたルックスはこの年の他の女優陣を圧倒。AVに出る前は深夜番組 『11PM』(日本テレビ)の火曜日の名物企画「秘湯の旅」のレポーター(通称「うさぎちゃん」)をしていたが、その時代が「つらい日々」だったことを作中のインタビューシーンで明らかにしている。 豊かなエロ表現。特筆すべきはここ。いやらしいオナニーシーンも官能的なベッドシーンも2013年のAVに持ってきても通用するでしょう。ドラマ物における濡れ場として一級品です。これは、ジャッキー監督のねばっこい、変態だろこの監督は?! と見る者を引きずり込む演出力の賜物でもあります。 黒いドレスを着たままのセックスは、こぼれた乳房に真珠のネックレスが絡まり、悩ましく狂おしく、僕たちを煽ってやまない。胸に精液を浴び、ティッシュでマ○コを拭い、ちょっぴり寝起きの不機嫌な少女みたいなカメラ目線、ここ、この表情、 なんんてなんて可愛いんだ奈緒! いえね、僕は当時 冴島奈緒のファンで、今は跡形もなきオレンジ通信誌でインタビューさせてもらいました。それが縁でライター仲間、編集者とともに彼女と何度かプライベートで酒を飲んだのです。
2012年。 冴島奈緒は病死。享年44歳。あらためて合掌。 まだ安心して眠っていていいんだよ奈緒。未だキミを越えるAV女優は現れていないからね。
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発売年:1987年 出演女優 藤あかね

チ○ポを生やした変態少女に騒然となった!

藤あかねってこんなにすごかったんやぁ?! と20何年ぶりに鑑賞してあらためて思いました。あどけない顔してやるこたぁエグい好色女優です。昭和のエロスという香りに、いつだって僕たち日本人男子は弱いということも再発見しました。ジャッキー×藤あかね。最強タッグで贈る1987年の年間ベストワン級の秀作をどうぞ!
山道の緑にひときわ映える白い裸身。ジャッキー組の常連男優・渡剛敏の「キミのボディで美しいと思うのはどこ?」の問いに 「全部好き」と微笑。そう返すのも無理はない。むっちりしつつも引き締まったボディライン、ひときわ映える90センチの美巨乳。カラダの肉質ひとつに男を虜にするイヤラシさあり。これは持って生まれたものだと思います。 喋り方はあどけなく、ベッドシーンでは ただただスケベという藤あかねはこの1987年のAV界における 屈指のエロエロ女優でした。別名義で2本撮ったあと藤あかねと改め、デビュー作が、過激な性描写で当時の審査団体「ビデ倫」を挑発しつづけた巨匠・豊田薫監督の『口全ワイセツ~くちびるに愛をこめて~』(SAMM=今のh.m.p)。 カゲキAVの代名詞となる『口全ワイセツ』の第一弾こそこの藤あかね主演作なのです!
そして彼女の2作目が本作です。この2本だけで、規定打席に到達しないままで本塁打王みたいなインパクトを残したのです。代表作は以上2本と言いきれます。 ベッドシーンの2人は大正か昭和初期かといういでたち。エロ小説家とその妾のような並び。昭和が薫る町娘風情があり、丸みを帯びていても魔性を感じる藤あかねにぴったりの画作りです。素晴らしいです。 カラミに乗っかるモノローグは「この人、私をどう思ってくれるのかしら?」etc.。古い一人称の官能小説を思わせる語り口がますますこちらの股間を盛り上げる。渡が取り出すのはバイブ。バイブ挿入です。 『スカートの下の異物』とはこのことだったのだ。喘ぎ声と重なるモーター音。乳くり合いながら、股間に刺されたバイブを握ってオナニーもしつつ感じるあかね。セックスが始まっても、片手は自らのクリトリスをいじって止まない。なんというエロ娘だよ。 このあと、スカートの下の異物はさらにぶっとい双頭ディルドとなる。 一方の亀頭をマ○コに挿入し、もう一方の亀頭を口にしてしゃぶる。この「一人フェラチオ」の図のなんと斬新なことか! 「女の子がもつチ○ポを生やしてみたい潜在願望」がテーマですが、こういう画を作れるジャッキーのセンスに脱帽です。
あまりにデキる変態少女ぶりに、煽られた監督が気づいたらこれを撮らされてしまっていた、といったに構図にも映ります。AV史においては地味な存在ですが、この 『スカートの中の異物』と『口全ワイセツ』の2本だけでAV女優殿堂入りに反対の声は出ないと思います。
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発売年:1987年 出演女優 鴇ルリ子

『愛の嵐』にだって負けていない!

顔面発射からのお掃除フェラって、もうやっていたんだ? とミッキー柳井とのカラミを見て発見。フェロモン薫る“ザ・オナペット”とともに、古き良きアダルトビデオの世界へ30分タイムスリップさせて差し上げましょう!
アメリカの悪趣味インディーズ・ホラーみたいな、と言えばこの作品の風合いがおわかりいただけると思います。悪趣味とは、
1987年はAV黄金期の幕開け。ビデ倫の月間審査本数が250本を越え、いよいよ「1千億円産業」といわれ、かわいさとみのデビュー作 『ぼくの太陽』(宇宙企画)は予約だけで8千本を数え、AVとして初めて雑誌「オリコン」のビデオソフト全体の売り上げベストテンにランクインし、今もAV史上最も売れた作品(約2万本)と言われています。光を女性器に当てたボカシで話題になった 『フラッシュバック』(アリスジャパン)やアテナ映像の代々木忠監督の 『いんらんパフォーマンス』シリーズが開始。今はなき大陸書房から1本800円の「書店売り」廉価版AVも登場した話題満載の年です。
この年、ジャッキー監督がとりわけお気に入りだったのが鴇ルリ子です。野性味あふれる美貌と170センチの長身は、女優というよりザ・オナペットとして高い完成度を見せます。 オープニングのイメージショットからヤラれちゃいます。 ナチス親衛隊の将校帽子にサングラス、上半身裸で黒い手袋。そう、映画『愛の嵐』(1975年日本公開)です。いろんな監督がいろんな女優でこれのイメージの再現に挑みましたが、鴇ルリ子にかなう女優は記憶にございません。『愛の嵐』主演の シャーロット・ランプリングに負けていない色香がありますもの。 カラミは2本立。ひとつは、廃工場にベッドが一台。手錠で拘束された全裸の男女がここに囚われているとの設定で、肉欲を貪り合う。 もうひとつは、BARのカウンターにいるイイ女をキザな男がナンパしてベッドにエスコート。事後、両方のエピソードに関連性あり、という本編にはあまり影響のないご丁寧な説明が登場人物によってされる。1人の女優を使って違うモードで2つのカラミを見せる際によく使われた手法です。それでも、ただ単にチャプターメニューで串ダンゴのように濡れ場が連なる 近年のAVと違い、情緒ってぇやつがありますよ。 先頃の引退宣言が話題になったAV男優の加藤鷹さんがもう10年以上前に僕に言いました。 「沢木ちゃんさ、最近のAVって情緒がないよね?」
でもね、じゃあ情緒入れます、と簡単にできないわけです。きちんと世界観を持って濡れ場を描ける監督にしかできないわけです。 2つのカラミの男優は前者が太賀麻郎、後者がミッキー柳井。オールドファンにはなつかしい当時のエース級です。DVD時代のこれでもかとハメシロを見せてくれる本番FUCK世代の皆さんにはどう映るでしょう? 時代が産んだオナペットをしばし味わっていただきたい!