1987年にヒットしたアメリカ映画『危険な情事』とは何の関係もない、タイトルだけをもじった作品ですが、はっきり言って本家のムービーよりも面白いです。今回は何度もこの単語を使いますが「ポップ」で「斬新」な映像作品としてのレベルは映画『危険な情事』よりも圧倒的にこちらが上なのですから。イセリンってすげえや! がAV評論家たちの合言葉だったことがよくわかる名作中の名作です!
60分作品が当たり前だったこの時代に登場した90分のドラマ物AVです。制作費を好きなだけ使えたバブル期だからこそ撮りえた名作です。英題が“ love affair danger”。クライマックスの廃工場を舞台とするガンア
クションまで、ド肝を抜かれてください。
売りのひとつがイセリン作品につきもののレイプシーンです。AVアイドルが凌辱されてマジでブチ切れて男優に殴りかかる一連は今見てもすさまじくリアルです。これを映像作家の演出力というやつだ、と誰もが納得させられることでしょう。
姫野真利亜と東清美の名花2輪がとにかく素晴らしいです。
女房(真利亜)がいるのに愛人(清美)と密会して、セーラー服を着せてハメ撮りに興じている男・杉山(渡剛敏)がいます。杉山の女房殺し計画に清美は協力すると約束します。真利亜が不倫しているから
「保険金殺人」を企てたのです。しかし事態は一変。真利亜が誘拐され、犯人から杉山へ身代金要求の電話がかかってきます。杉山からすれば、
“ラッキー。金なんか払うか。勝手に妻を殺してくれ”。
しかし、誘拐は嘘。真利亜と愛人の共謀、一攫千金狙いだったのです。
清美もまた若くてハンサムな恋人がいて、杉山を裏切ります。
そんなドロドロの群像劇に割って入るのが、世間を騒がせ中の連続婦女暴行魔・甘粕正彦。演じるのは伊勢組のレギュラーで漫画家の平口広美です。レイプから殺戮へ。目ン玉をくり抜いたり手首を切断したりのスプラッターな描写も圧巻です。
ブチ切れる姫野真利亜が最後、突然拳銃を手に復讐に走るアクション映画モードとなるも、まさかの第三者による返り討ちに遭います(ネタバレ避けますね)。
事件の数々を伝えるニュースキャスター役にはやはり伊勢組の常連だったあの
蛭子能収です。
保険金殺人、偽装誘拐といった時代が生んだ犯罪をあつかうのが得意なイセリンならではの社会派色にも注目させられます。
こんなエンタメ、見たことない! と唸ってください。
ラストシーン。コンクリの床に横たわる姫野真利亜は、モノトーンの画面に赤いハイヒールの赤色だけがくっきり。その俯瞰図は、
ドラマ物AV史に残る名ショットです。